平成13年3月17日(土)
2<メカニカはアイソパラメトリック要素を使用しているのですか?>
5<シェル要素の場合はアスペクト比はどのくらいが良いですか?>
9<シェル要素の板厚と長さの比が1:10を超えてしまったら結果はどうなりますか?>
10<シェル要素の面外せん断応力(transverse shear stresses )を見ることはできますか?>
12<ビームの「トータルストレス」はどうやって計算されているのですか?>
一般的には同じ次数であれば6面体要素の方が精度が良いようだが、メカニカの場合はアダプティブに高次要素を用いているので6面体要素に匹敵する精度を持っていると考えられる。
しかし、同等の精度であれば6面体要素の方が計算時間は早く、要素のゆがみに対しても影響度は少ないようだ。
最大のポイントはメッシュ作成の困難さだが、簡単に6面体要素で切れるようならこちらにメリットがあると思われる。
一方で、複雑な3次元モデルのほとんどの場合は4面体要素用のメッシュジェネレータで切らざるを得ない状況がほとんどである。
メッシュ作成時間を取るか計算時間を取るかの「究極の選択」ということになる。
(現実的には、「計算時間」は待っているだけなのでこちらを犠牲にする傾向が強い)
アイソパラメトリック要素は使用していない。
アイソパラメトリック要素は要素の形状関数と変位関数を同じ関数で表現するが、メカニカはそうではなく別々の高次の関数で表現している。
(これ以上の説明が無いためどちらが高次なのか等の詳細部分は不明、メカニカのP法要素の定式化については現在資料等を収集している途中である、可能な限り整理してまとめていくつもりであるので今しばらくのご猶予をいただきたい)
1つの要素の中の最大の寸法と最小の寸法の比のこと。
メカニカではだいたい30対1以下を目安とする。
注)自分で簡単なモデルを作り、試して見るのがよい
ビームは断面寸法に対して長手方向の寸法が十分ある必要がある。
一応ガイドラインとしては、断面の代表寸法と長手方向の寸法の比が1/10以下になるようにする。
注)自分で簡単なモデルを作り、試して見るのがよい
2Dシェルの場合は1:10〜1:1000の間にする。
3Dシェルの場合も同様だが、長辺と短辺の比は30:1以下になるようにする。
注)自分で簡単なモデルを作り、試して見るのがよい
ソリッド要素の場合は、目安として1つの面の最長辺と最短辺の比が30:1以下になるようにする。
注)自分で簡単なモデルを作り、試して見るのがよい
メニューのReview/Entity/Shell で最大曲率を計算できる。
(ここで曲率とは半径の逆数のことである)
シェルの板厚を曲率の1.5倍以上に設定することはできない。
すなわち
thickness * max curvature < 1.5 でなくてはならない。
(言いかえると 板厚/半径<1.5)
この条件をみたさないとシェル厚を設定できないので、出来合いのサーフェスモデルにシェル厚を設定する時などは注意が必要である
しかしこれには抜け道がある。「積層材」を使用すると上記の制限がなくなる。いつもいいかげんなモデル化をしている筆者は、この制限に引っかかった時は積層材を使用している。
面内変形を見ることはできるが、面直軸に対するモーメントを計算しているわけではないことに注意。
メカニカのシェル要素では、面外曲げ時に板厚方向の各点というのは面内方向に対しては線形に分布すると仮定している。また面直の応力σZZはその他の応力成分に比較して小さいことを仮定しているため、板厚が相対的に厚くなったような要素では結果の誤差が大きくなる。
直接的に見る方法は無い。面直のせん断力分布を見ることは可能。
エッジがスムーズでないか、折れ曲がっている時にこのようなメッセージが出る。
CADからインポートした場合等に出やすい。別のスプラインやサーフェスで置き換えるのが1つの方法。
また、ポイントを追加してメッシュを密にすることで切り抜けられることもある。
ビーム断面内での9点で応力をリカバーしており、その中の最大値を取っている。これは、曲げ応力と軸方向応力を足したものになっているが、ねじり応力は含まれない。ちなみに最大主応力とフォンミーゼス応力を計算する時にはねじり応力も含まれる。
1radあたりの特性として表現される。(FAQ1を参照)
解析の前に「メジャー」で指定しておかなければならない。
「メジャー」の「リザルタントフォース」でスプリングの端点とスプリングを指定する。
結果は.rptファイルに書き出される。
せん断によるひずみエネルギーの補正係数に関するものである。
これは、ビーム要素で断面に渡ってせん断応力が一定であるという仮定をしているため必要なのである(実際にはこれは正しくない、せん断応力は中立面で最大となる)。
この補正係数はkと呼ばれることがある。せん断FYとせん断FZは一般的に1/kである。
実用上下記文献によるとこの補正係数は最大せん断応力を、断面の平均せん断応力で割ったものに近い。
参考
実際には、ビームが相対的に長く、せん断応力が曲げ応力に対して小さい時にはこれらの値は重要ではない。
以下の文献を参照のこと。
"Advanced Mechanics of Materials" by Boresi, Sidebottom, Seely and Smith.
Formulas for Stress and Strain by Roark and Young.
ねじり定数Jは極断面2次モーメントと同じ性質のものではない。
極断面2次モーメントと実効極断面2次モーメント(ねじり定数)を区別することは重要である。
M_x = G * J * theta
ここで
· M_x はビームに作用するトルク
· Gは材料のせん断弾性係数
· theta はねじれ角
G * Jはねじり剛性と呼ばれる。
Jは断面積およびIyy、Izz、の関数である。
Jは断面形状に依存する。
断面が円形状の場合に限り Jは極断面2次モーメントと等しい。(下式のようになる)
J_actual = integral over the area
of r^2 da
rは断面の半径。
ただし、実効極断面2次モーメントJは実際の極断面2次モーメントとは別物であることはくれぐれも注意すること。
まとめると、
・Jは実効極断面2次モーメントであり= function of [Area, (Ixx + Iyy)] = f[Area, Irr]
・断面が円形の時はJ = integral over the area of [r^2 da]
・ 実際の極断面2次モーメント= integral over the area of [r^2 da]
両者は等しい、後者は通常「極慣性モーメント」と呼ばれる
他の断面形状のねじり定数は、機械工学便覧等を参照のこと。
ソリッド要素は、回転の自由度をもっていないため、ポイントにばねをつなぐとシンギュラリティーエラーの原因になる。
対策として以下のものが挙げられる。
· ソリッドとつなげた点の 回転自由度を全て拘束する
· ビームやシェル要素をソリッドの表面上に這わせてその点にばねをつなげる
この場合、ビームやシェルがシンギュラリティーエラーを起こさないように配慮するのはもちろんだが、剛性が無視できるほど小さくなるようにしておかなければならない。
一般的に、ばねを設定した時のそのばね定数を決めるのは簡単ではない。ばねに置き換えたもとの構造物の剛性を見積もらなければいけないためだ。
これは、ベアリング等ではカタログ値、指示のないものでは何らかの方法で取得しなければならない。
(実験が理想であるが、その部位だけをクローズアップした解析で予測する手も良く使われる)
また、ばね定数の表を埋める方法の1つとして、1方向のみに妥当そうな値(Nとする)を入れ、あとの6方向の並進にはNの1000倍程度の高いばね定数を入れて剛結合を表現することが良く行われる。
Kyz等の連成項については0にしておくのが一般的である。